朝というのは早すぎる時間、マチは傍らの存在が目覚めた事に気付いた。
 探るまでも無く隠されもしていない者の様子を探るのは容易い。目を閉じたまま、身動きひとつせずに覚醒したマチはしばらく狸寝入りをすることにした。
 それは、ほんのちょっとした好奇心。
 おずおずとこちらの様子を窺っているのが手に取るように分かる。笑い出してしまいそうな衝動を、必死で堪えた。

(バレバレなのにねぇ……)

 戦闘能力に関しては完璧に一般人以下であるが、旅団員であるマチに気付かれないようにすることなど不可能だ。
 分かりきったことを真剣にしている様子が可愛くて、マチは口元が緩むのを堪えなくてはならなかった。

「寝てる……よね?」

 マチを起こさぬように、はちいさな声で呟く。寝起きでいつもよりぼんやりとした声が、きゅっとマチの胸を締め付ける。

(まったく、もう! この子は!)

 起きてしまおうか葛藤している間に、そっとの手が髪に触れた。最初は恐る恐るだった動きが、マチが起きないことにじょじょに大胆になっていく。
 ひんやりとした細い指先が、マチの額に落ち、形を確かめるように頬へと滑っていく。
 そして、指先は唇の上で止まった。
 長い逡巡の後、指でないものが唇に落とされる。

 ―――掠めるように触れた、やわらかな感触。長い髪が、マチの頬に触れる。

 パチリと目を開けて、ようやく視界にを納める。屈んだままの状態で、驚愕に大きく目を見開いたは、次の瞬間顔を真っ赤にして後ろに下がろうとした。
 反射速度の勝るマチが、逃すはずも無い。あっさりと腰を捕らえ引き寄せると、軽い重さがマチの胸に落ちてくる。
 あくあくと口をわななかせるも、言葉が出ないらしいに、マチは少し意地の悪い微笑みを浮かべた。

「おはよう、

 更に頬を首を真っ赤に上気した可愛い恋人に、今度は自分から唇を寄せた。
 






×××

〜マチの場合〜





2007/07/01

百合ですみません(><)誰も喜ばないと分かってますが、書いているほうはノリノリでした(笑)
漢前なマチねーさんの相手が男というのが想像できなくてですね(言い訳)それにしても、誰よりも漢前なSSになっているような気がします…