ちゅっ、と可愛らしい水音を立てて唇が離れる。その微かな音でさえ、は顔を真っ赤に染めてしまった。 クリーム色のきめ細かい肌を綺麗に桜色に染めて、瞳をきょろきょろさせるは犯罪的に可愛い。全てがクロロの好みにぴったりと当て嵌まる。 思わず興を誘われて、また唇を寄せた。口紅さえつけていない唇は、リップクリームの甘い香りがした。 「…もうっ! クロロ、さん」 震える吐息を吐きながら、微かに潤んだ瞳で見上げてくる。黒目の大きな瞳はクロロの「漆黒」とは同じようでまるで違うそれは、どこか温もりを感じさせる。きゅっと唇を引き結んで睨みつけられても、やっぱりクロロの胸には「可愛いな」という感情しか生まれなかった。言外に含まれた望みに気付かないわけではないが、あえての望みを無視する。 とクロロに圧倒的な力の差があるからではない。 を己の従属物としてみているわけでもない。 ただ、本当にクロロから逃れることが望みならば、はただ腕を伸ばして身を離せば良いだけなのだ。 それだけで、良いのだ。小さな拒絶の意思表示だけで、クロロはを解放するだろう。 それくらい、この少女に囚われている。逃げ出せないくらいに。 「……みんな、帰ってきます」 まるで重要なことのようにが告げた言葉に、クロロは笑った。恥ずかしがりやな少女のみせる、照れや恥じらいは理解出来るものではなかったが、いつもクロロの胸を愛しさで満たすのだ。 拗ねたように唇を尖らせるのは可愛いだけだった。それでは逆効果だというのに。 「それがどうかしたか?」 の目が驚愕に大きく見開かれる。どうやら、この少女にとってはキスとは秘すべきものらしい。 それでも、誘惑に満ちた唇の甘い誘いに、クロロは抗うつもりなどなかった。 2007/06/25
ちゅーが書けて満足です! この調子で旅団のイケメンズ(笑)と女子チームも書いていきます。予定としては、 シャル・フェイタン・フィンクス・マチ・シズク・パクで。 |